母の日 プレゼントに悩むあなたへ|頑張らない選び方
しらいし ゆみこ
昭和女子 × ひとり暮らし
ごきげんよう。
家の窓から桜が見えるの。
春になると、
あの場所は少しだけにぎやかになるわ。
家族連れ。
レジャーシートを広げて、
お弁当を食べている人たち。
写真を撮って、
子どもたちが走り回っている。
笑い声が、風に乗って届くのよ。
にぎやかで、いいわね。
楽しそうだわ。
ああいう時間って、
きっと、あとから思い出になるのよね。
その場にいるときは、
当たり前みたいに過ぎていくのに。
でもね。
ねえ。
知ってるかしら。
その桜の木、
冬には、すべての葉を落とすのよ。
誰もいなくなった公園は、
しんと静まり返っている。
風の音だけがして、
足音も、笑い声もないの。
落ち葉を掃く音だけが、
やけに大きく聞こえるのよ。
あのにぎやかさは、
季節の中の、ほんの一瞬。
でも。
それでもいいのかもしれないわね。
満開のときだけじゃなくて、
何もないときも含めて。
あの桜は、そこに立っているんだから。
ひとりで見る春も、
悪くないわ。
にぎやかな時間を、
少し遠くから眺めながら。
自分のペースで、季節を感じる。
それくらいが、
今の私にはちょうどいいの。
今日も窓の向こうで、
桜はきれいに咲いているわ。
誰かの春と、
私の春が、同じ場所にあるのね。
